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   Q 乳癌のリスクファクター
 
 
   

 
 
日本乳癌学会で2年に1回出している、科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン(疫学・予防編)の2008年版に基づき、どのような人が乳癌のリスクファクターを持っているかまとめてみました。
 
評価は日本を含む多くの国の文献を検索してまとめられたものです。その文献的評価は、「推奨グレード」と「エビデンスグレード」で行われます。それぞれ以下の如くです。
 
   「推奨グレード」
 A  十分なエビデンスがあり、推奨内容を日常診療で積極的に実践するよう推奨する。しこりが急激に増大してくるものは要注意です。  
 B   エビデンスがあり、推奨内容を日常診療で実践するように推奨する。
 C   エビデンスは十分とはいえないので、日常診療で実践する際には十分な注意を必要とする。
 D  患者に害悪・不利益が及ぶ可能性があるというエビデンスがあるので、日常診療では実践しないよう推奨する。

 「エビデンスグレード」
確 実  発癌リスクに関連することが、確実であると判断できる十分な根拠があり、予防行動を取ることが勧められる。 
ほ ぼ 確 実   発癌リスクに関連することが、ほぼ確実であると判断できる十分な根拠があり、予防行動を取ることが一般的に勧められる。
可能性あり   「確実」「ほぼ確実」とは判断できないが、発癌リスクとの関連性を示唆する根拠がある。
証拠不十分  データが不十分であり、発癌リスクとの関連性について結論付けることができない。
大きな関連なし  発癌リスクに対して実質的な影響はないと判断する十分な根拠がある。


実際の乳癌のリスクファクターは、生活環境因子(高脂肪・高カロリー食などの食生活の欧米化社環境因子)、社会環境因子(女性の社会進出に伴う未産婦・未 授乳婦の増加。さらに初産の高齢化、少子化の蔓延)、内分泌環境因子(初潮の低年齢化および閉経の高年齢化などの体質の変化)、その他の因子に分けられま す。各々の因子別にエビデンスグレード、推奨グレードでリスクファクターをまとめました。
 
【生活環境因子】
 
.アルコール飲料の摂取は乳癌のリスクを増加させるか?
ほ ぼ 確 実
日本人女性で乳癌発病のリスクが高くなるかどうかは十分なデータがないために結論が出せないが、飲む量が増えるほど乳癌発病リスクが高まるのは確実である。
 
2.喫煙は乳癌のリスクを増加させるか?
可能性あり
2006年厚生労働省が実施した日本人を対象とした疫学研究のレビューによると、日本人女性では、喫煙により乳癌リスクが増加する可能性があると結論している。
 
3.肥満は乳癌のリスクと関連するか?
★閉経前:乳癌のリスクを減少させることはほぼ確実 ⇒ ほ ぼ 確 実
★閉経後:乳癌のリスクを増加させることは確実 ⇒ 確 実
 
4.脂肪の食事摂取は乳癌のリスクを増加させるか?
★閉経前 ⇒ 証拠不十分
★閉経後 ⇒ 可能性あり
閉経後の肥満が乳癌発病リスクを高めるのは血液中の女性ホルモンの増加が原因ではないかと考えられているが、閉経前の肥満が乳癌発病リスクを低下させる原因は分かっていない。
閉経前女性の肥満は無排卵を誘発し、黄体ホルモンの暴露機関を短くするという仮説はあるが、決定的ではない。
 
5. 脂肪の食事摂取は乳癌のリスクを増加させるか?
★閉経前 ⇒ 証拠不十分
★閉経後 ⇒ 可能性あり
 
6. 運動は乳癌のリスクを減少させるか?
★閉経前 ⇒ 証拠不十分
★閉経後 ⇒ ほ ぼ 確 実
 
7. 緑茶の摂取は乳癌のリスクを減少させるか?
証拠不十分
アジア地域では乳癌発病率が低いことが知られている。またカテキンに乳癌細胞の増殖を抑制する効果があることが示されているが、研究結果にばらつきがあり、信頼性のある研究結果は存在しない。
研究結果にばらつきが多く、信頼性の高い研究結果は存在しない。
 
8. 大豆イソフラボンの摂取は乳癌のリスクを減少させるか?
証拠不十分
大豆食品を多く取ることで乳癌発病リスクが低くなるかどうかは結論が出ていない。イソフラボンをサプリメントの形で摂取した場合も、乳癌発病リスクが低くなるという根拠はなく、推奨できない。
 
9. 乳癌リスクを減少させるためにサプリメントを服用することは勧められるか?
推奨グレード D
 
【社会環境因子】
 
10.出産は乳癌のリスクと関係するか?
★出産経験のない女性は出産経験のある女性と比較して乳癌のリスクが高いことは確実である。
 ⇒ 確 実
★初産年齢が低いほど乳癌のリスクは低く、初産年齢が高い女性は乳癌のリスクが高いことは確実である。
 ⇒ 確 実
 
11.授乳は乳癌のリスクと関連するか?
★授乳経験のない女性は授乳経験のある女性と比較して、乳癌のリスクが増加することは確実である。
 ⇒ 確 実
★授乳期間が長くなるほど乳癌のリスクが低下することは確実である。 ⇒ 確 実
 
出産数の低下、初産年齢の高齢化は、女性の社会進出が進み、ライフスタイルが多様化している現代の一つの社会現象であり、これらの因子への介入で乳癌リス クを低下させることは非常に困難である。しかし、母乳育児は、児への好影響とともに、母親にとっても乳癌のリスク低下が期待できることから、その有用性を 再認識する必要があると考えられる。
 
12.乳癌リスクに関連する心理社会的要因はあるか?
★ストレスが乳癌リスクを増加させるかどうかは検討付けられない。 ⇒ 証拠不十分
ストレスを経験した女性は経験しなかった女性に比べて約2倍乳癌発病リスクが高くなったという報告はあるが、適度な心理的ストレスは逆に人が健全に生きていくために必要なものとされるなど、ストレスの概念は一様でない。

★配偶者の死は乳癌リスクを増加させる可能性がある。 ⇒ 可能性あり
離婚、配偶者の死、身近な親族や友人の死が乳癌リスクを増加させていたという報告がある。

★性格傾向が乳癌リスクに関係するとは言えない。 ⇒ 大きな関連なし
乳癌になりやすい性格はない。
 
13.夜間勤務は乳癌のリスクを増加させるか?
可能性あり
夜間勤務が多い女性は、そうでない女性に比べて、5割弱乳癌の発病が多くなる傾向が判明した。ただし、乳癌の増加は様々な原因が複雑に関連した結果と考えられるので、夜間勤務の増加だけが、それほど大きな影響のある原因とは言えない。
夜間光線被爆により下垂体からのメラトニン分泌が抑制することにより、卵巣からのエストロゲン分泌が増加する。
 
【内分泌環境因子】
 
14.初経年齢、閉経年齢は乳癌のリスクと関係するか?
★早い初経年齢が乳癌のリスクを増加させることはほぼ確実である。 ⇒ ほ ぼ 確 実
★遅い閉経年齢は乳癌のリスクを増加させるこ可能性がある。 ⇒ 可能性あり
日本人に関して早い初経が乳癌のリスクを増加させることはほぼ確実であるが、閉経前、閉経後乳癌に分けて影響をみるとどちらに対してリスクを増加させるのか結論は一致していない。
遅い閉経に関する欧米の研究では、乳癌のリスクを増加させるという報告が多いが、遅い閉経自体はリスク増加とは関係なく、月経の機関が長いほどリスクが増 加するという報告もある。日本人では遅い閉経は乳癌にリスクを増加させる可能性があるものの、結論は必ずしも一致せず、強い根拠があるとは言えない。
 
15.閉経後ホルモン補充療法は乳癌のリスクを増加させるか?
★プロゲステロン併用療法ではわずかではあるが乳癌のリスクを増加させる。 ⇒ 確 実
★エストロゲン補充療法が乳癌のリスクに関連するかどうかは結論づけられない。 ⇒ 証拠不十分
いずれも白人女性のデータであり、日本人で検討する際には留意が必要。
 
16.経口避妊薬の使用は乳癌のリスクを増加させるか?
可能性あり
経口避妊薬を長期間使用すると乳癌発病リスクは少し高くなる。
 

 
17.良性乳腺疾患は乳癌のリスク因子となるか?
確 実
病理学的に増殖性変化を示す病変、特に異型過形成が乳癌のリスクを増加させる。
 
18.乳癌家族歴は乳癌のリスク因子となるか?
確 実
母が乳癌:1.3〜2.1倍
第一度近親者(親、姉妹、子)の一人が乳癌:1.2〜8.8倍
第一度近親者(親、姉妹、子)の二人が乳癌:2.5〜13.6倍
近親者乳癌の発症年齢が若いほどリスクが増加する。
 
19.乳癌家族歴を有する女性に対してBRCA1あるいはBRCA2遺伝子変異検査は勧められるか?
推奨グレード C
乳癌患者が高度に集積する家系では、遺伝子変異検査により遺伝子変異キャリアを高頻度に発見可能と考える。しかし、有効な予防法、検診法、治療法、カウンセリング制度が確立されていない日本の現状では、日常診療で勧めるだけの根拠が不十分である。
一方家族性乳癌は全乳癌の5〜10%にあたり頻度は決して少なくない。
BRCA1の変異家系では若年性乳癌や両側乳癌が高頻度に発生し、卵巣癌の重複も懸念される。一方BRCA2の変異保有家系はBRCA1のそれと比べ、卵 巣癌症例は少ないものの、併発する多臓器癌の種類が多いとされ、BRCA1またはBRCA2遺伝子の変異保有家系に属する人々に対する、乳癌および卵巣癌 を含む多臓器癌を早期発見する適切なフォローアップシステムが不可欠である。
 
 
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